「仕事の流儀-③-」2023 7.27
「仕事の流儀-③-」
2023 7.27

「仕事の流儀-③-」
2023 7.27

 物理学者であり、エッセイストでもあった寺田 寅彦は、こう残している。「天災は忘れた頃にやってくる!」と。 昨今、日本列島は、毎年が異常気象であり、「ゲリラ豪雨」、「線状降水帯」等の言葉も定着している。今日、「災害は、忘れないうちに、いつでも、どこでもやってくる!」時代であり、規模も激甚化している。 被災された方々に、お見舞い申し上げます。
 平成20年2月、海岸沿いの集落を日本海の高波が襲った。「越波」という言葉を書類で見てはいたが、下新川直轄海岸でその姿を初めて見た。次々に押し寄せる「寄り廻り波」は、20トンのテトラポットを踊らせ、海水は防波堤も簡単に突破し、低地に位置する集落に濁流となって攻め込んだ。そして、平穏な漁村の生活を破壊した。 復旧すべきは多岐に渡った。土木部、農林水産部は当然として、公衆衛生を扱う厚生部、商売に支障を来たすので商工労働部、学校にも影響があるため教育委員会、そして、「火事場泥棒」に備えて消防・警察等、全てのセクションが関係した。災害の翌日から、「視察団が、次から次に、しかも別々にやって来た!」事が印象に残り、気になった。視察団に丁重に対応するため、役場職員は、その都度、同じ説明を繰り返していた。結果として、復旧に向けたその職員の本来の仕事が後回しになる。もちろん、視察団に全く悪気はない。
 先月末、地元自治体の河川が、圃場が、林道が、そして家屋が被災した。翌日、高波災害を被災地で経験した者として、各行政機関の邪魔にならない様、敢えて連絡をせず、現地の状況を確認した後に、首長、センター長を訪ね、復旧に向けた連携を確認した。非常事態では、総責任者に情報を集中させ、組織で現況を共有し、組織を一元的に指揮する事に尽きる。内部と外部を区別する事に尽きる。ここにも、「戦時宰相論」が適用される。