お札が替わる。 福沢諭吉が渋沢栄一に、樋口一葉が津田梅子に、夏目漱石が北里柴三郎に替わる。 その目的は、偽造防止であり、ユニバーサルデザインの採用である。キャッシュレスが進んでいるが、まだまだ現金社会である。 最初の海外旅行は、約35年前の卒業旅行であった。目的地はキューバ。「自由主義国、資本主義国はいつでも行ける!」と考えて、アクセスの悪い、政治体制の異なる国を選んだ。単身で「カリブ海の真珠」へ。言語は触れた事のないスペイン語。全く無謀である。 現在のキューバの実態はわからない。首都ハバナに到着後、現地の人に「カンピョー!カンピョー!」と声を掛けられた。「干瓢?」と聞こえた。「お札」らしい物を手にしている。「両替しよう!」と言っているようだ。どう見ても銀行マンではないが、1万円札と交換した。 ところがである。その「紙幣」は使えなかった。外国人旅行者は、「インツーリスト」と呼ばれる全く別物の通貨(?)しか使用出来なかった。つまり、1万円を両替したつもりが、外国人が全く使えない「紙切れ」を購入しただけであった。宿泊したホテルの従業員に、その「紙切れ」を見せたところ、そんな「紙幣」は見た事がないという。「どういう事? ニセ札?」 日本に帰国し、キューバ大使館にその「紙切れ」を持参したところ、調べる時間が欲しいという。後日、大使館から「本物のキューバ紙幣です!」と連絡があった。またしても「どういう事?」 つまり、現地の人が見る事のない「高額紙幣」だったようだ。 それにしても謎なのは、私が両替した人が何故、現地の人が見た事がないような「高額紙幣」を所有していたのか? もしかしたら、○×公認の外貨獲得のためのヤミの両替商(?)なのか?それは未だわからない。