「あの夏の事」2023 6.8
「あの夏の事」
2023 6.8

「あの夏の事」
2023 6.8

 1月生まれのためか、遺伝のためかはわからないが、冬の寒さには強いが、夏の暑さには、からっきし弱い。しかも大汗かきときている。平成11年に県議会議員に初当選した頃は、全ての会議は、ネクタイ、上着必須であった。私自身、古風(?)なので、人様と会う時は、ノーネクタイ、上着なしは失礼と考えていたし、その考えは変わらない。

 当選直後の夏に、政治レポートを手に、一軒一軒、挨拶まわりをしていた時の話。その日も酷暑の午後だった。上着の背中に汗染みを拡げながら一軒一軒、訪ねた。ある家の玄関を開けると、部屋の奥で80才位のおばあさんとその娘さんらしき人が、「炬燵」に入っている。 「えっ! コタツ?」と思ったが、何事もなかったかのように、 「県議会議員の上田英俊です。 政治レポートを読んで下さい!」と述べた。40代位の娘さんが近付いて来られて、カタコトの日本語でこう言われた。 「アンタはよくまわっておる。お天道さんは見とるよ!」と。 知的障害を有しておられるようだった。 「ありがとうございます!」とお礼を伝えて、玄関を出た。涙が止まらなかった。 「福祉とは何か?」、「税金は、どう使うべきか?」を考えさせられた出会いであった。その出会いが、私を厚生労働行政に走らせた。今、あらゆる場で、「〇✕無償化」が訴えられている。福祉の視点は大切だ。しかし、「無償化」はタダではない。どこかの誰かが負担している。税金で支払っている。「福祉の向上」は、政治の大切な仕事である。一方で、「自立」と「自律」も大切である。1人1人が、希望する教育を受けて、希望する職業に就いて、「自助」・「共助」・「公助」の社会を再構築する事も政治の大切な役割である。