「紅」2022 9.16
「紅」
2022 9.16

「紅」
2022 9.16

 以下、全てフィクションである。その高校のその学年は、今で言う、ダイバーシティ(?)のような生徒が集まっていた。そのためか(?)公的機関から、市内の他の学校以上に指導を受けていた。「スクールウォーズ」でもないのに、校舎の廊下をバイクが走っていたという。その学年は、非日常的なイベントを好んだ。受験を目前に控えた時期にもかかわらず、「体育祭」に燃えていた。生徒にとって、「体育祭」は青春の「密」の象徴であった。全ての競技、成績発表も終わった。恒例の勝鬨の感動も鎮まらぬまま、生徒は帰路に着いたふりをする。そして、約束の地に向かう。指導者も、集合地点を知りつつも、「外には出るなよ!」と聞こえるような独り言をつぶやく。しかし、授業もロクに聴かない者に、指導者の心配の声は届くはずもない。数時間後の夜に、どういう訳か、生徒が千鳥足で、夢遊病患者のように、街を彷徨っていたようだ。そこで登場した公的機関。「こんな時間に、どうしたのかね君?」と尋問されたのが事の発端。何故だか、翌日の授業からは「都市伝説」のように、生徒が教室から、1人、また1人と消えていったという。事の重大さに苦悩した学校の親方は、担任でもないのに1人の生徒を校長室に呼び、こう切り出した。「君で止めてくれ!」。その生徒は親方の期待(?)に応えた。その日以降、教室から生徒が消える事はなかったという。昭和の時代、担任でもない親方は、その生徒の能力(?)をどのようにして見抜いたのだろうか? また、どのような力量(?)で、その生徒は、「イモづる」を止めたのか? 昭和の学校現場の教育力は示唆に富む。 繰り返しになるが、これは全てフィクションである。