「『ピッ!』の向こう側」2023 6.15
「『ピッ!』の向こう側」2023 6.15

「『ピッ!』の向こう側」2023 6.15

「支払い」は現金主義であった。
カードで決済するのは、「丸井」で、無理して買ったデザイナーズ・ブランドのスーツ位で、買い物の大半は、現金で決着を付けてきた。 最近、カードの便利さを知ってしまった。コンビニで、タクシー、地下鉄で、「ピッ!」とする。小銭が発生せず、ジャラジャラしなくて良い。今、現金を使うのは、昼に食べる国会議事堂内の「冷やし野菜そば」400円位か。

 生まれて初めて、カードを持ったのは、高校を卒業し、上京した時の「にいかわ信用金庫」のキャッシュカードであった。時代は既に「現金書留」の時代ではなくなっていた。仮面浪人をしていたので、八王子の共同トイレ・共同風呂のアパートに籠りきりであった。 結果、1回100円の手数料を支払い、数千円の食費程度しかおろさなかった。 早稲田大学に入学し、雄弁会に入り、人付き合いも増えたため、以前より、生活にお金が掛かるようになった。それでも、1回におろすのは1万円。その1万円でまず両替感覚で、古本屋で1冊100円の本を5冊買って、おつりのワンコインで「いもや」の天丼を食べて、下宿に戻る日々であった。

 カード社会は便利で、現金を持ち歩く危険はないが、全てがつながっているため、トラブルが発生すると大騒動になり、face to faceの現金社会より被害が甚大になる。個人情報がダダ漏れとなり、データも一括して侵略され、盗まれる。そして知らない場所で悪用される。便利さの向こうに潜む闇は深い。奈落は底無しかもしれない。