「蟻の一穴」
ある選挙で、ある候補者の訴えを聴きながら、「昔と全く変わらんなー!」、「アイツらしいなー!」と想う。保守の良識として、目の前の「票」の誘惑にも負けずに、次の世代も見据える主張、政治に、そして有権者に向き合う真摯な姿勢は、明治大学ラグビー部の「前へ!」を連想させる。「なるほど!」と感じさせる候補者、政治家には、その人の頑ななまでの「らしさ」、「流儀」を見てとれる。「らしさ」、「流儀」を貫く者は強い。「右か?左か?」で悩み抜いた末に出た結論を、曲げずに、貫く者は強い。
私が初めて候補者になったのは、平成7年の県議会議員選挙。当時30才。自らが出馬するという事は、現状に納得出来ず、現状の変革を志しているという事だ。現状に満足、納得しているならば、自分が出馬する必要はない。現職に任せておけば良い。 昭和の田舎の選挙は、事務所で酒を飲む事が当たり前であった。とは言っても、人目を憚ってか、ヤカンに入れて、「力水」と呼ぶ事もあった。酒を飲む事で、酔っ払い、大声になり、喧嘩も起こる。それが嫌で事務所を避ける人も出てくる。結果、事務所から人がいなくなり、落選してしまう。「選挙に酒はつきもの!」といった小さな慣例から変える事にした。まず、事務所開きや出陣式で、お酒を受け取る事から止める事にした。せっかく持って来られたお酒を、一軒一軒返してまわった。お酒を返す事は、人様の好意を踏みにじる行為でもある。頭を下げて、謝りながら返してまわった。失礼な事と思いながらも、「事務所で酒を飲まない!」という小さな信念として貫いた。自らの想いを貫く事は、難しい。しかし、小さな事であったかもしれないが、信念を曲げる事は恥かしい。「この程度なら良いではないか!」という考えが「蟻の一穴」となる。