「スマート農業」2024 5.9
「スマート農業」
2024 5.9

「スマート農業」
2024 5.9

「スマート農業」

 黒部川扇状地に規則正しく並ぶ圃場に水が張られ、春がやってきた。酷暑、水不足等が心配されるが、「耕せ、ニッポン!」の季節がやってきた。

 平成7年の春、県議会議員選挙に落選した後、「米作り」を体験させて頂いた。あれから30年。「米作り」の現場も大きく変化した。田植えでは、1反当たり約23枚の苗箱を軽トラックで運んでいたが、直播の収量も安定し、密苗という手法も拡大した。その結果、農地を請け負う者の作付面積も拡大した。また、幅30メートルの圃場を挟み、畦道を歩き、夫婦が大声を張り上げながらの防除作業も、ラジコンによる無人ヘリコプターが導入され、その性能も日進月歩で向上し、ドローンによる散布も至る所で見られるようになった。生産者の減少、高齢化が進行する中で、「スマート農業」が果たす役割が、より大きくなってくる。生産が効率的になり、労働時間が短縮され、更なる経営規模の拡大が可能となる。 ここで立ち止まって考えてみる。確かに「スマート農業」は生産の現場を大きく変える。しかし、あらゆる便利な「道具」が、「コシヒカリ」の値段を上げてくれる訳ではない。「スマート農業」の到達点は、「農業所得の向上」であり、「儲かる農業」である。道具によって産み出された時間をどう使うか?畑地化が促進された農地で、どの作物が高収益作物となるのか?この気候に、この土壌にどの作物が合うのか?農業普及指導員、営農指導員の出番である。農業の可能性はまだまだ大きい。