「穿つ-②-」
ボーダー(境界)が存在するには理由がある。県境となるには理由がある。峡谷を削る急流河川が陸地を分断し、急峻な山岳が屏風のようにそびえ立つ。結果、人々の往来、物流が容易ではなくなる。しかしながら、人々は、細々とした生活を維持するために自力で、時には家畜を用いて、交易を行ってきた。自然の力は絶大だが、人知と人力でそうした障壁を乗り越えてきた。
国道「152号」は、長野県上田市を起点とし、南アルプスの山間部を縦断し、静岡県浜松市を終点とする。国道ではありながら「青崩峠」等の車両交通不能区間がある。地理的条件として、中央構造線に近く、地質も複雑で、強大な地山荷重が作用する逆境のなか、トンネル掘削を完了させた。
国道「289号」は、新潟市を起点とし、福島県いわき市を終点とする。県境は、急峻な地形であり、豪雪地帯でもあり、こちらも自動車通行不能区間があり、その区間は、「八十里越」と呼ばれている。その名称の由来は、「一里が十里にも感じられる険しさ」から来ている。豪雪地帯故に、工事期間が限定される中、来年夏に開通が見込まれる。
全ての厳しい条件を突破するには、国土交通省、そして、静岡県と長野県、新潟県と福島県のような強い想い、「啐啄同時」の「熱」と「粘り強さ」が必要不可欠である。