「そういえば...」2025 6.23
「そういえば...」
2025 6.23

「そういえば...」
2025 6.23

「そういえば...」

 そういえば、昨年の6月頃、地元の大規模農家から、「売るコメがなくなった!」との連絡を受けた。
 そういえば、以前、農家の人が言っていた。「秋の収穫を終えて、コメを出荷して、世間の人々が『新米』を楽しむ中、生産者は、年内は『古米』を食べている!」と。
 そういえば、一昨年の夏は、「地球温暖化」ではなく「地球沸騰化」という新しい言葉を発見した。新潟県の上越地方では、厳しい酷暑に水不足が追い打ちをかけて、イネの「立ち枯れ」の映像が流れていた。
 そういえば、「水の王国」富山の中でも、特に農業用水の心配がないと信じ込まれていた黒部川水系でも、水が足りずに、黒部川を利用する民間企業に放水の協力を依頼した。
 そういえば、一昨年の秋の収穫は、コメ作りのプロフェッショナルである大規模農家でも、高温障害で一等米比率が大きく下がり、二等、三等ばかりで、利益が大幅に削られて、肩をガックリ落としていた。且つ、「米選機下」のコメも少なかったと言った。

 水田単作地帯の富山県で、農地が大規模農家に集約・集積された、狭い地域の「そういえば」からの推察ではあるが、今日のコメ問題の発端は、一昨年のコメの作柄と収量の結果ではないか?作況指数は、「玄米」の段階では、大幅な減少は、見えにくかったかもしれないが、精米の過程で、「白濁」した米が砕けて、俗に言う「歩留まり」も悪く、「ふるい下米」も少なく、その結果、需給が逼迫したのではないか?そして、それは、地球沸騰化に起因するのではないか?もちろん、インバウンド等で米の消費が伸びた要因もあるのかもしれないが。

 米政策は、今後も需要に見合う供給が基本と考えるが、「作況指数と現実のズレ」、「備蓄米の在り方」、「公権力と生産量・価格の関わり方」等の課題の整理と今後の方針について冷静な分析と議論が必要がある。