「雄弁」
ある人が言っていた。「政治家というのは天才だね!どうでもいい話をその場の空気も読まず、ダラダラとしゃべり続けられるのは、天才と言うしかない!」と。なるほど。皮肉だわな。
早稲田大学の前身である東京専門学校の創設に携わった小野 梓は、こう訴えた。「我が国には、能弁家や達弁家は多いが、真の雄弁家は、殆んど見あたらない!我々は事実の説明家や思想の叙述者を以って、満足してはならない!宜しく輿論を喚起し、一世も動かすような雄弁家を作らねばならない!」と。その趣旨に基づき早稲田大学雄弁会が誕生した。
私も、挨拶の後に、たまに誉められる事がある。その大半が、「今日の話は短くて良かった!」というものばかり。昔の政治家には、「あの話、あの演説をしてくれ!」と同じ演説を求められる者もいたという。そういう人を雄弁家と呼ぶのであろう。先日、高校の先輩の「卒寿」の会に出席した。「犀潟駅で親切にされた」話、「富山商工会議所会頭であった井村 荒喜氏の原稿」の話、「魚津高校の小澤 梅子先生」の話。中尾 哲雄先輩の話は、何度聴いても心に沁みる。