「309」2025 5.1
「309」
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「309」
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「309」

 衆議院本会議場の議席順は、基本的に、当選回数が少ない議員が前列に位置し、当選を重ねるに従い、後列に移動していく。また、役職により、座る場所も変わってくる。閣僚や、党幹部は後列に陣取り、国会対策委員会の正副委員長会のメンバーも、連絡を取り易いように、「一塊」を占めている。昨年の総選挙後の人事で、国会対策委員会正副委員長会のオブザーバーとなった事により、自席も「一塊」の中となった。「309」が自席番号。例によって、この席に座った先輩議員を調べてみた。懐かしい名前を見付けた。「鍛冶 良作」。旧富山1区選出の代議士で、黒部市生地の出身。かつての中選挙区制の富山1区は定数が3名。県東部、いわゆる「呉東」エリアで定数3を巡り保守系4名が鎬を削り、「四天王」と呼ばれていた。それに革新系を加えた激しい選挙戦であり、「無傷」の代議士は、次の時代の「住 栄作」氏まで待たねばならない。

 鍛冶 良作氏の自伝「四恩四知の道」の中で、政治家として、地域のため、国家のために取り組んできた歴史が詳細に記されている。特筆すべきは「関西電力黒部ルート」の一般開放である。関西電力㈱取締役社長「太田垣 士郎」の名で当時の国立公園を所管する厚生大臣「小林 英三」宛てに昭和31年6月27日に提出された「誓約書」を論拠に国会で論陣を張った。昨年1月1日に発生した能登半島地震により「黒部宇奈月キャニオンルート」は延期されているが、黒部ダム完成から今日に至るまで、多くの方々の尽力により、いよいよ一般開放となる。「黒部に怪我人なし!」の地で、戦後復興に臨んだ「関西電力」、事業を請け負った「建設会社」、そして破砕帯に立ち向かった「労働者」、後方支援の「炊事班」等と現場から離れた故郷の家を守る「家族」ら全てが黒部ダム・発電所建設における「地上の星」である。貧困からの脱却。それにしても、熟、「昔の人は偉かった!」と想う。