「雲霧仁左衛門(?)②」
年金の被保険者は、1号、2号、3号に分類される。大まかに言えば、1号は、自営業者や学生。2号は、会社に勤める人や公務員。そして、3号は、2号に扶養されている被扶養配偶者。ライフステージの中で、「1号→2号」、「2号→1号」等、移動する事も当然ある。その変更手続きを会社が行う場合もあれば、自分で届け出をしなければならない場合もある。こんな事件が起こった。会社に勤める2号が1号となった。その場合、3号は、自ら1号に変更の届け出をしなければならない。しかし、世の中にそんな事を知っている人はそう多くない。結果として、元3号は、年金の保険料を未納する者となってしまった。未納は年金額に当然反映される。もちろん、3号から1号にきちんと変更し、保険料を納める人も多数存在する。大騒動となった。「年金」に詳しい(?)と自認する政治家たちは、「政治主導」なるものを発揮し、「未納期間」を「納付済期間」として取り扱うという大英断(?)を下した。1号に変更手続きをして、きちんと定額の保険料を納めた者にとって、不公平な措置である事は間違いない。これまた大騒ぎとなった。その正論に焦った「年金」に詳しい(?)政党の政治家は、その責任を部下の役人に押しつけた。政治の失敗を行政に負わせた。それが「政治主導」なのか?
公的サービスは無料ではない。例えば、「健康保険」は自ら保険料を負担し、医療機関で受診した場合、一定割合の自己負担額を支払う。サービスの提供を受けたのだから、サービスを受けた者が対価を支払うのは当然でもある。これを「応益負担」という。一方で、所得再分配という思想で能力に応じて負担するという考え方もある。それも当然である。これを「応能負担」という。「応益負担」、「応能負担」どちらも正しい。しかし、最近、「応益負担」という言葉はあまり見かけない。「政治主導」、「応益負担」という言葉はどこに行ったのか?そう言えば「毎月7万円の最低保障年金」というおいしそうな、鰻の蒲焼きのような話もあったわな。「雲」か「霧」のように消えたのか?ご都合主義者を満載していては、国家が危うくなる。