「後楽園」2024 9.4
「後楽園」
2024 9.4

「後楽園」
2024 9.4

「後楽園」

 岡山県は兵庫県の隣に位置する。
 私の母方の祖父は、新潟県柏崎市の出身で、紡績工場に勤め、「呉羽」→「入善」と転勤し、終着点は、「岡山県倉敷」だった。「入善」工場で勤務の時、母親は、社内の床屋で働き、縁があり、父親と結婚に至った。父は、私が生まれる前に、理容店を開業した。お客様にも恵まれ、保育所に通うまでは、紡績の社宅で祖母に育てられた。祖父が倉敷に転勤となり、誰も私の面倒を見る者がいなくなったため、暫くの間、倉敷の雇用促進住宅で育てられる事となった。大阪駅前の阪神百貨店の前で待ち合わせ、私が父から祖父母に引き渡された。その際、私は泣くどころか、父にニコニコ笑って「バイバイ!」としたらしく、父は複雑な想いだったようだ。 岡山県には、「桃太郎」、「大原美術館」、そして、国の特別名勝に指定されている「後楽園」がある。「後楽園」の由来とは異なるようだが、その文字から「先憂後楽」という言葉が浮かんでくる。「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて、楽しむ」という政治に携わる者の心構えを説いた言葉である。しかし、残念な事に最近、どういう訳か「先楽後楽」という「手合い」が目立つ。酒を相手の盃につぎながら、「アンタ、一杯、ワシャ、二杯」のおねだりの「手合い」が目立つ。「いやはやなんとも」としか言いようがない。ちなみに、「カニ」は、商品となって、市場に出ると、「一杯」、「二杯」と数えるそうだ。